株式会社マネジメントソリューションズ

代表コラム 株式会社マネジメントソリューションズ代表取締役 佐々木 元

Vol.22012.12.5

着眼すべきは、職場のコミュニケーション・風土問題だ。

一方、管理職研修では、受講者である管理者達は最近の若手は「やる気がない」「言われたことしかやらない」「同じことで何度もミスをする」とか、しまいには、「能力・スキルが低い」とまで口にする。「新人・若手なのだから、経験・体験もないのだからスキルがないのは当たり前でしょ。あなたたちの指導に問題があるのじゃないの?」と言っても、受講者たちはポカンとする。『新人・若手が育たない』原因を管理者自らの言動が原因として認識している人は少ない。そもそも、彼ら管理者が育ってきた当時の環境と現在は大きく異なる点も『部下育成』を難しくしている。顧客の期待・要望は高度化・複雑化し、扱う商品・サービスは膨大に増え、複雑化している。職場では、人員は最小限に抑えられ、数年採用抑制したので組織のヒエラルキーは崩れている、残業制限もある。若手から見れば誰に教えを求めれば良いのか、身近に教えてくれる・悩みを相談できる先輩がいないのである。一方管理者も、上からは成果を上げろといわれ、部下には頼れず、自分自身もプレイヤーとして動かざるを得ない等、大企業も中小企業もプレイイングマネジャーは常態化している。管理者側にも、新人・若手側にも『育成できない』『育成されない』それぞれ言い分や言い訳はあり、膠着状態だ。それでも、少数ではあるが、仕事でも組織成果をあげることと、部下育成の両立をしっかりやっている管理者もいるのである。別に彼らが暇なわけではない。キーは、「仕事の割当」と「仕事を任せる(権限委譲)」「職場のコミュニケーションの在り様・風土」にある。特に3番目の「職場のコミュニケーションの在り様・風土」は別に目に見えるものでも形あるものでもないので、成果をあげる上で、どこか頼りない・効果的ではない存在とみてしまいがちだ。しかし、異動や転職したりすればわかるが、企業や職場には固有の風土があり、所属構成員の思考・行動に強い影響を与えている。そこには経営陣・管理者の一挙手一投足が大きく影響しているのである。  3.11震災以降、『絆』という言葉が注目されているが、それは多くの人の身の回りで廃れているから・薄まっているからことさら注目される。『一体感や結束力のある組織をつくりたい』と言う経営者や管理者は多い。ならば、職場のコミュニケーション・風土問題にも是非着眼してもらいたい。